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2007-07-29 (Sun)
おれのしらないあなたのまえにほんとうのおれはいて
おれのしってるあなたのまえにはおれがいない

「全員散開、個別行動をとって下さい!」

少女の静かだが良く通る声が頭に響く。
さて、俺は今から何をすればいい?
聞くまでもない、自分の仕事をするだけだ。
たとえ今日のメンバーにこの世で最も愛しい男がいるとしても、その男が苦手とする氷結系のシャドウが多い階層だったとしても。
そんなことを考えている今も、どこからか歪な心音のような耳鳴りのような耳障りな声が響いてくる。
さあ、もたもたしている暇はないんだ。


どれほど時間が経っただろうか?
アイテムを手にし、階段に集合した俺達はまだ到着していない一人に一抹の不安を巡らせる。
ああ、こんな時の嫌な予感ほど往々にして当たるもんなんだ。

「真田先輩が苦戦しています、誰か援護を!」

一斉に駆け出そうとする面子を尻目に、なぜか俺の声は自分でも驚くほどに冷静だった。

「みんなで駆けつけたってしょーがないっしょ。俺が「真田先輩行動不能です!!」

少女の悲痛な叫びが他人事のように頭の中で木霊する。
頭では分かってる。
今、人数を減らすのは得策じゃない。
まだ先の長い階層だ、多少のリスクを負ってでも合流したいところだ。
それでも俺の口は頭と直結してなかったらしい。

「俺が何とか真田サン連れて帰還すっからさ、お前ら先行っててくんねー?」

その時、俺がどんな顔してたかなんて分からない。
ただ、いつもは正論で返してくるリーダーがいやにしかめっ面で一言、
「分かった。明日はワックおごれよ。」
とだけ言って承知してくれた。
そんなやり取りすらも上の空で、俺はすぐに走り出していた。


次の角、この角を曲がったら彼がいる。
少女の的確なアナライズで彼を見つけるまでそう時間はかからなかった。

「サンキュ、風花。もういいぜ、アイツ等の方頼むわ。」

後は何とか自力で帰還してね、という少女の気遣わしげな言葉を遠くに聞きながら、力なく倒れた男に一歩一歩近づいていく。
中途半端なダメージを食らったままうろついているシャドウを、きっと弱いであろう炎で一掃する。
こんな時、属性って因果なもんだよなーなんて他人事のように思う。

そして、倒れ込んだその体を壁を支えにしてゆっくり起こす。
俯き加減の頭からま新しい血が一筋流れる様をただただ見つめた。
恐る恐るその顔に手を添えても、反応は全く返ってこない。

出血の為か、尚一層白んだ顔さえ美しくて俺は苦しいようなやりきれない気持ちになる。
普段なら邪険に振り払われる手を、そっと頬に這わせる。
こうして、あんたが与り知らぬところでそっと触れるのが初めてじゃないこともこの男は知らない。
いや、知らなくていいのだ。
こうしている今も、自分がどんな醜い顔をしているのか想像もつかない。

ああ、もうそろそろ時間がヤバイな。
地面から浮いているような不思議な感覚のまま、それだけははっきり意識できた。
だから・・・
スッとキャップを外し、もの言わぬ男の唇に触れるだけのキスを落とす。
倒錯的な感覚に自ら酔いしれながら、永遠とも思える口づけを終えると再びキャップを目深にかぶり直した。

俺の知ってるあんたに自分を知られるのが怖いから、だから意識の無いあんたにだけ見せる。
人形とセックスするような、意味の無い自慰行為だ。
それでも、臆病な俺は「これで満足なのだ」と自分さえ偽る。

さあ、もう行かなきゃ。
あんたの知っている俺のいる世界へ。


END.

初めて書いたP3のSSです。
同タイトルのイラストに頂いたコメントに触発されて、一気に書き上げたものなのですが・・・
自分で考えていたストーリーよりもずっと救いのないものになってしまいました。
これじゃあ完璧に真←順ですね。

本当は、順平が自分で真田を傷つけた設定と同時進行で妄想しながら描いたイラストだったので、どっちの設定でSSに起こすか最後まで悩んだのですが、いざ書き出したら自分の中のブラック順平がいい感じに突っ走ってくれました。(苦笑)

そんなわけで、決してこのストーリーが元々の主軸というわけではないので、あのイラストのあらわす物語の一つ、アナザーストーリーなんだ・・・くらいに思って頂ければ幸いです。

それでは、拙い文章にお付き合い下さりありがとうございました!!
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順平が好きすぎて・・・というか、P3が好きすぎて・・・
こっそりこっそりブログ作っちゃいました。
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